コロナ禍によって多くの人の頭を悩ませた「コロナ太り」。
なかなか痩せられない原因は、一体どこにあるのでしょうか。
本記事では順天堂大学医学部教授の医師、小林弘幸氏による著書『お医者さんがすすめるバナナの「朝食化」ダイエット 超シンプルな腸活健康法』(アスコム)から一部抜粋して、「太りやすくやせにくい体」になってしまう原因について解説します。
「コロナ太り」がなかなか解消できないたった1つの理由
コロナ禍で多くの人が直面した「コロナ太り」。しかも、なかなか体重がもとに戻らず、悩んでいる人の声をよく聞きます。
これは、コロナ禍の生活によって、体がやせにくくなってしまっていることが原因と考えられます。
ダイエットを選ぶ基準は、「勝手にやせる体になるもの」です。では、それはどのような体のことをいうのでしょうか。
勝手にやせる体になるダイエット
具体的には、代謝、なかでも基礎代謝が高い体です。
人間は、食事や脂肪を変換して得たエネルギー(カロリー)を使って、歩いたり、走ったり、臓器を動かしたり、脳を働かしたり、すべての生命活動を行っています。このエネルギーを使う人間の活動のことを代謝といいます。
エネルギーは代謝以上に食事で摂取すると、脂肪へと変わっていきます。
逆に代謝が摂取するエネルギーを超えれば、貯蔵してある脂肪がエネルギーとなりやせるのです。
そして、代謝のなかでも、最もエネルギーを使っているのが、走ったり飛んだり歩いたりといった運動(活動代謝)ではなく、体温を保ったり、息をしたり、心臓などの臓器を動かしたりといった、生命の維持に必要な活動で使う基礎代謝です。
代謝の約6割をしめるといわれ、この基礎代謝が高い体=勝手にやせる体というわけです。
この基礎代謝を下げる原因の1つがストレスです。
コロナ禍における運動不足もあると思いますが、なかなか解消できない人が少なくない現状をみると、自粛生活をしいられたことや先の見えない不安、閉塞感、感染への恐怖が大きなストレスとなり、体がやせにくくなっていることが、コロナ太りが解消できない大きな理由と考えられるのです。
「勝手にやせる体づくり」に絶対必要な2つの要素
「ストレスがやせにくい体にする」と先ほど述べましたが、これはやせる体づくりに、自律神経が大きくかかわってくるからです。
結論からいいます。勝手にやせる体づくりには、「自律神経」「腸内環境」の2つを整えることが大切です。ここでは1つ目の要素である自律神経から説明していきましょう。
自律神経の役割とは
自律神経とは、中枢神経(ちゅうすうしんけい)と体のあらゆる器官をつないでいる末梢神経(まっしょうしんけい)の1つです。内臓の働きや呼吸、血流、体温の調整など、体の機能を24時間コントロールしている体の司令塔のような役割を担っています。
例えば、重要な場面で鼓動がはやくなる経験をしたことはないでしょうか? これは自律神経が働き、心拍数や呼吸数を上げることによって、酸素や栄養素を体全体に送らせてエネルギーを高め、戦闘状態にしているからなのです。
また、暑くなったら汗をかく。これも体内の温度が上がりすぎてオーバーヒートしないように、自律神経が汗腺を刺激して汗をかかせて、体温を適切にコントロールしているから起こります。
このように、自律神経が各器官に命令を与えることで、私たちは生命を維持しています。
自律神経には、体が活発に動いているときに優位になる「交感神経」と、リラックスしているときに優位になる「副交感神経」という2種類があります。
この2つの神経のどちらかが環境や状況に合わせて優位に働くことで、私たちが生きるために必要なあらゆる機能を適切にコントロールしています。
一般的には、日中の活動的な状況のときは交感神経が優位な状態になります。一方で、副交感神経が優位になると、血管が拡張して、心臓の動きはゆるやかになり、血圧が低下して、体は休息モードになっていきます。
よく「副交感神経を高めましょう」という話が出るので、勘違いされやすいですが、この2つは、どちらかが優位な状態を保つことがいいということではありません。
仕事や作業などで活動的に動こうとするときには、交感神経が優位に活発に働かなくては、やる気も出ないし、集中もできません。
一方で、夜寝る前などの体を休めるときなどは、副交感神経が優位に働いていないと、体が十分に休めずに、不眠や慢性疲労といった症状を抱える原因となります。
自律神経の乱れが「太りやすい体」に変えてしまうワケ
つまり、2つの神経が必要なときに、必要な分だけ働くことが大切なのです。よくいわれる、「自律神経が乱れた状態」というのは、2つの神経が必要なときに必要な分だけ働いていない状態です。
例えば、前述したように、ストレスは自律神経を乱す大きな原因となります。なんらかのストレスを受けたとき、私たちの体はいつも通りの状態を保とうと活動します。
その1つが交感神経の活性化です。
ストレスを受けるとそれに対応するために交感神経が優位になり、しっかりと呼吸をして酸素を取り入れたり、全身へ血液が行き渡るように心拍を速くしたりします。
ストレスという非常事態を乗り切るために、体が戦闘態勢を整えるのです。
それは、体を守るためには必要なことなのですが、長く続いてしまうと、夜、副交感神経が活発になる必要があるのに、交感神経によってその働きが抑制され、うまく働かなくなり、体に不調が出ます。
さらにその不調をなんとかしようと自律神経が頑張ることで、自律神経がオーバーワークになってしまい、本来の働きが、どんどんできなくなってしまうのです。
例えば、胃腸の働きが抑制されて食べたものの消化が滞り、便秘になり、ぽっこりお腹になりやすくなります。
そしてなにより、血流が悪くなることで代謝が下がります。代謝が下がると、先ほど説明したように、脂肪をためやすい、太りやすい体になってしまうというわけです。
小林 弘幸
(出典 news.nicovideo.jp)
(出典 img.ananweb.jp)
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